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カポホの近くにある家は電気がきていない。シャワーやトイレ、洗面台や台所の水は、自動車用バッテリーの電気でポンプを動かし、圧力タンクを利用して蛇口から出る仕組みになっている。自動車用バッテリーはソーラーパネルで充電している。この家を買った時には、ソーラーパネルは1枚しかなかった。あまりに充電能力が低いのではないだろうかと思い、すぐに中古のソーラーパネル1枚(最高出力75W)を買って2枚にした。ソーラーパネルが充電できるのは、昼間だけだ。夜はまったく充電できない。
夜の間にバッテリーの電気がソーラーパネル側に逆流してしまうのではなかろうかという心配が起きた。最初に考えたことは、夜の間だけ切れるスイッチがあればいいのではないだろうかと思って、秋葉原に行った。ちょうどその目的にあった実験用の装置が見つかった。光センサー付きのスイッチだ。暗くなると、スイッチが入るようになっていた。暗くなると切れるように利用すればいい。
ハワイに行ったときにソーラーパネルとバッテリーを接続したケーブルの間にその実験装置を入れてみた。うまくいった。しかし何か月か経って、その家に来てみると、その装置は壊れていた。実験用の装置なので回路もむき出しだった。耐久性はあまりないようだった。
つぎに一定方向にしか電流を流さないダイオードを中間に入れるといいのではないかと思い、秋葉原に行った。初めは容量の小さいものが見つかったが、ある店で容量の大きい物が見つかった。先に見つけたものは太さが米粒ぐらいだったが、それは指の太さぐらいだった。テスターで抵抗を計測すると、確かに電流は一定方向にしか流れないようになっていた。安いものだったので5本買った。
バスルームの下にこの家にあったヒューズボックスのようなものを取り付け、それにソーラーパネルからのケーブルとバッテリーからのケーブルを接続した。ヒューズの代わりにダイオードを取り付けた。ソーラーパネルからバッテリーに流れる電流だけを流すように取り付けた。プラス側にだけ取り付け、マイナス側は直結した。これで昼間だけ充電し、夜間は電流が流れなくなった。
この家の元住人は夜間小さな発電機の直流端子とバッテリーをつなぎ充電していたようだ。台所とリビングには12Vの直流で点灯する丸い蛍光灯と白熱灯が取り付けられていた。寝室は豆球が1個付いているだけだった。僕は夜間の照明については発電機の交流を直接利用することにした。棒状の蛍光灯とそれを取り付ける器具をいくつも買った。バスルーム、台所、リビング、2階の寝室にケーブルを伸ばし、照明を取り付けた。初めて蛍光灯を点けた夜は、その明るさに感激した。
発電機は燃料のガソリンを満タンにしても3時間ぐらいしか運転できなかった。だから発電機がガス欠で停止する9時ごろには床に就いた。
水を汲み上げるポンプは直流電流で動くものだし、そのたびに発電機を運転するのは面倒なので、バッテリーで作動させるしかなかった。だからいつも太陽が沈む前にシャワーを浴びた。シャワーを浴びている間は、ポンプが回り続けている。ソーラーパネルがバッテリーを充電している間にシャワーを済ませたかった。
昼間ソーラーパネルが発電するエネルギーをバッテリーの充電という形以外にためる方法はないものか考えた。バッテリーの充電には限度があると思った。使いすぎるとバッテリーは機能を失う。交換も厄介だ。第一重いので、持ち運びが大変だ。そのときバッテリーはポンプにしか利用していなかった。水を夜間でも安心して使うことができればいいのだ。
それで思いついた。まず丈夫なやぐらを建てる。日本で盆踊りに使っているようなものだ。高さは3メートルもあれば大丈夫だ。やぐらの上に水をためるものを載せる。プラスチック製のものがホームセンターのような店で売られている。底に近い部分に水を排出するネジ穴がある。昼間ソーラーパネルがポンプを動かし、やぐらの上のタンクに水をためる。その水位が上がったら、自動的にポンプのスイッチが切れるようにしておく。
やぐらの上にある水はポンプがなくても下に落ちてくるので、配管をしておくだけで、いつでも水が使えるようになる。ポンプが動く時の音は結構うるさい。夜トイレを利用した時には、飛行機が飛ぶような音がしばらく続く。昼間はそれほど気にならない。だからやぐら方式はなかなかいいと思う。ソーラーパネルのエネルギーで直接ポンプを動かし水を汲み上げるので、バッテリーは不要になる。安心して水が使える。仮にやぐら上のタンクの水が完全になくなったとしても、翌日太陽が出るとポンプが自動的に水を汲み上げてくれる。1日の平均的な水の使用量を計算して、その何倍かの容量をためられるタンクを設置すればいい。
その後電気がきている家を買ったので、この構想を実現する必要性はなくなってしまった。しかし将来電気のきていない土地に家を建てるという状況になったら、このアイデアは役に立つかもしれない。