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犯罪件数は少ないようだが、発生率は必ずしも低いわけではない。人口が少ないのでその分件数は少ないといったところだろう。地元紙でチェックする限り、犯罪は夜間発生する確率が高いようだ。だから夜間はなるべく外出しないようにした方がいい。かなり前のことだが、夜ハイウエイ11号線を走行していた車に、対向車から握りこぶし大の石が投げつけられるという事件があった。石はフロントガラスを貫通し、運転していた中年女性の頭に当たり、その女性は死亡した。
いたずらだったのかも知れないが、見ず知らずの走行中の車に石を投げるという馬鹿なことをする人間がいるということを知って驚いた。死亡者は出なかったが、それ以前にも何回か同じような事件が起きていたようだ。犯人が被害者と交友関係がある可能性は低く、犯人はつかまっていないと思うが、そういうことも起こりうるということを知っておいた方がいいと思う。夜だから起こりうる事件だ。昼間そんなことをすれば、目撃者もいるだろうし、すぐつかまってしまう可能性が高い。
ハワイを含め米国にはクライムストッパーズという仕組みがある。匿名で犯罪に関する情報を通報できるようになっている。その情報に基づいて犯人が逮捕されれば、報奨金も出るようになっている。事件が発生し犯人がつかまっていない場合は、大体事件を担当する警察官の名前と電話番号のほか、クライムストッパーズの電話番号が新聞に掲載される。未解決事件が発生するたびに掲載される。一般人から協力を求めるのが捜査の基本になっているようだ。
ハワイ島に限らずハワイではしばしば銀行強盗事件が起きる。日本の銀行強盗のように刃物や鉄砲などを振り回すことはあまりしないようだ。紙切れに「強盗だ。金を出せ。拳銃を持っている」というようなことを書いて、窓口の人に渡すのが一般的な方法だ。これに対して銀行側は抵抗しないであっさりお金を渡す。そのようにするよう教育されているのだろう。後は警察やFBIにまかせるのだ。銀行強盗はFBIの担当のようだ。起訴も連邦地裁に対してなされるようだ。
ところでハワイの銀行の店舗では男性行員の姿はめったに見かけない。ほとんどが女性だ。若い女性も多い。僕が口座を開いた銀行では全員女性行員という店舗がほとんどだった。責任者を含めて全員女性なのだ。ハワイ島では役所の窓口職員が全員女性ということも多い。
ハワイ州の法律では死刑がない。最高刑は保釈なしの終身刑だ。起訴されたいくつかの罪状に対してすべて保釈なしの終身刑が言い渡される場合もある。3つの終身刑を受けた被告人もいた。1つで十分な気もするが、1つが恩赦になってもまだ2つ終身刑が残っているので、釈放しないですむということもある。それなりの意味があるのかもしれない。
面白いのは刑の執行の仕方に2通りあるということだ。ひとつは判決を受けたいくつかの懲役刑などが同時に進行する場合である。もうひとつはひとつの刑をすませた後、続いて次の刑を受けるという方法である。3つの罪についてそれぞれ10年の懲役刑が言い渡されても、前者では10年で終わるが、後者では30年かかるのである。どういう方法で執行するのかは裁判官が決定する。
陪審員が有罪か無罪かを決めるので、そういうところに裁判官の裁量を認めているのかもしれない。被害者全員に手書きの詫び状を書くように命令する裁判官もいる。陪審員なしの裁判もある。被告人にその選択権がある。
ハワイで起きた事件がすべてハワイ州の法律で裁かれるわけではない。銀行強盗がそうだし、連邦政府の職員が当事者になる事件も連邦地裁の管轄だ。こちらは当然のことながら死刑判決がありうる。ハワイには連邦政府の出先機関がいろいろある。ナショナルパークの職員は連邦政府の職員だ。農業関係の施設もある。イミグレーションオフィスやソシアルセキュリティオフィスもそうだ。兵隊さんも州兵以外は連邦政府の職員になる。FBIのほかUSマーシャルの事務所もある。
ハワイ島では覚せい剤などの麻薬取引が盛んであるように報道されている。その取引現場が当局によって急襲されることがある。ATF(アルコール・タバコ・ファイアアーム)という役所の職員も参加することもあるようだ。CIAも出先機関をハワイに置いているかもしれない。ヒロには連邦政府の建物もある。
麻薬関係の事件で押収された現金は捜査当局が使えるようになっている。押収物件も公開入札で処分される。利益は捜査費用に当てられるようになっている。元麻薬中毒患者が学校で生徒に経験を語るというようなこともある。
子供が裁判官や検事や弁護士になって、軽い罪を犯した子供を裁くという制度もある。量刑はコミュニティサービス程度のものだが、法的にも有効な判決だ。刑期を終えた子供が裁判官などになるようだ。
1991年のクリスマスイブの昼下がり、本土から遊びに来てサイクリングを楽しんでいた若い女性がカポホの僕の家の近くで、殴られレイプされ捨てられて死亡するという事件があった。
犯人は近所に住む3人組みだった。事件直後にも取り調べを受けたが、決め手がなく、釈放された。何年もたってから、一番若い男の証言で、全員が有罪判決を受けた。犯行を証言した男は犯行現場に居合わせただけで積極的に犯行に加わったわけではなかった。他の2人は彼の兄とその友達だった。被害者から採取された精液のDNA鑑定は、その2人のものとは一致しなかった。それでも有罪になった。証言のほうが優先されたのだ。DNA鑑定もあまり当てにならないと思った。2人とも終身刑だったが、このうちの1人は3つの終身刑を言い渡された。現在控訴中だ。