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ハワイ島で生活するために、早くから日本側での生活についてもあれこれ考えた。退職後いきなりハワイ島で永住できるとは思っていなかった。日本にも生活する場を確保しなければならなかった。当時はマンション住まいだった。マンションだと毎月管理費を払わなくてはならない。できれば一戸建てを確保したかった。しかし先立つものがなかった。そこで激安のリゾートマンションを買うことを考えた。住んでいたマンションはいずれ処分する予定だった。
インターネットで調べると、激安物件がいろいろあった。結局駐車場が無料だった苗場のリゾートマンションを230万円で買った。230万円といっても、不動産屋や司法書士への手数料、登録免許税、不動産取得税などであっさりと300万円を超してしまった。それに毎月2万円以上の管理費を払わなくてはならない。固定資産税も6万円程度だ。それに成田空港からは自動車で数時間かかる。高速自動車料金とガソリン代は往復で1万円だ。
そこで夏だけ生活するにしても買い物、洗濯などどうしたらいいのか不安になった。買い物をするにはいくつも長いトンネルを通り、山を越えて町まで行かなくてはならなかった。部屋の中には洗濯機を置く場所はあるが、洗濯物を干すところがなかった。30平米の部屋には家具も入れられない。家具の大半を処分しなければならない。リゾートマンションで暮らすことは所詮無理な気がした。
一方で、成田空港の周辺に車庫を建てるための土地を物色していた。インターネットで競売物件をチェックした。めぼしをつけた物件の所在地を裁判所に置いてある資料で調べた。実際に何カ所かの土地を見た。すぐに車庫を建てるのにぴったりの土地が見つかった。その土地の広さは36坪だった。最低価格の55万円で入札した。ほかに誰も入札した人はいなかったようだ。落札決定の通知がきてから、法務局と町役場に行って、必要な書類をそろえた。残金と手数料を用意して裁判所に行った。
抵当権がいくつも設定されていたので、そのことを担当の書記官に聞くと、すべて裁判所で抹消し、所有権移転登記も裁判所がするということだった。それが競売の手続きだとも言われた。まもなくその土地の登記済証が裁判所から郵送されてきた。リゾートマンションを買った時と比べ手数料はなしに等しかった。その土地にイナバの車庫を建てた。ハワイに行く時は、そこに車を入れておけばいい。歩いて数分のところに成田空港にも行くバスの停留所がある。
競売で土地を落札した経験が一戸建て住宅を取得するのに役立った。成田周辺で競売されている物件を探し、次々に入札した。最初は最低価格で入札したが、落札できなかった。4回目に思い切って最低価格に50万円を上乗せして350万円で入札した。ほかにも入札者が1人いるということだったが、落札できた。
登録免許税が40万円以上だった。だから約400万円で一戸建ての家を手に入れることができた。不動産取得税は住民票をそこに移したため、26万円だったのが、2万円以下で済んだ。この家はまだ建ててから8年ぐらいしか経っていない。軽量鉄骨造り2階建てで、床面積は104平米、敷地の面積は120坪ぐらいだ。この家から車庫まで車で30分以内の距離だ。
それまで住んでいた100平米の4LDKマンションは結局買値の半分ぐらいの1200万円ぐらいで売れた。同じタイプの部屋が10年ぐらい前には4700万円で売れた実績がある。日本の不動産神話は完全に崩壊してしまったという気持ちをひしひし感じた。
苗場のリゾートマンションは150万円で売りに出してみたが、売れなかった。先に借り手が見つかった。2年契約で月4万1千円の家賃だ。不動産業者に10%差しかれるので、管理費や固定資産税を差し引くとほとんど利益はない。