
033
2階玄関のドアは普段は閉めっぱなしにしており、鍵も家には置いていない。普段は1階裏口から出入りしている。そのドアの鍵は内側のロックノブを横にしておくと、キーなしでロックできるようになっている。元の所有者は鍵なしで外に出て、鍵がロックされた場合のために、キーを1本家の外に隠しておくといいとアドバイスしていた。僕はそんな間抜けなことはするはずがないと思って、不要な鍵はすべて銀行の貸し金庫に保管している。
そういうことが起こらないように、普段は内側のロックノブに触ることもなかった。必ずキーでロックするようにしていた。トラックのドアのロックもキーなしでロックすることはしなかった。必ずキーで閉めるようにしている。そうしないと鍵を車の中に置いたままロックしてしまうような気がするからだ。
ある日の朝、畑の手入れをするため、いつのように裏庭に出た。母も外に出ていた。作業を止めて家に戻り1階裏口のドアを開けようとドアのノブを回そうとしたところ、回らない。一瞬目の前が真っ暗になった。何かのはずみでロックのノブが動いたのかもしれない。鍵は家の中だ。車の鍵も家の中だ。どうすればいいのだ。一時気が動転してしまった。窓を壊して入ろうかとも思った。
落ち着いてドアを観察すると、蝶番が外に出ていることに気付いた。それを外せばドアが外れて何とかなるのではなかろうかと思った。この家にはいろいろな道具があった。元の所有者が残していったものだ。両端がくぎ抜きになっているL字型の金属棒は、大小2本ある。大きい方のバールで蝶番を外した。どうして外したのかは記憶がない。2カ所ある蝶番を外すとドアが外れた。ロックを解除してドアを元通りにはめた。このドアは分厚く、重かった。後でよくこんなものが外せたものだとわれながら感心した。火事場のくそ力だったのだろう。
その日からドアが閉まらないようにするため、ドアの下に小さな岩を置くことにした。裏庭で手ごろな小石を拾ってきた。その後日本の百円ショップで買ったドアストッパーを小石の代わりに使うようにした。鍵を外に隠すという方法は、今でも採用する気になれない。
それにしても持ち歩く鍵が増えてくる。トラックの鍵だけで4つある。エンジンをかけたりドアを開ける鍵。ダッシュボードの鍵。荷台のキャンパーの鍵。ハンドルを固定して盗難を防止する道具の鍵。貸し金庫の鍵も2本ある。それに家の鍵。日本の車の鍵、家の鍵2本、車庫の鍵も持って行かなくてはならない。これらは持ち歩いてはいないが、盗まれたら大変だ。次回からは貸し金庫に保管しなければならないだろう。
貸し金庫の費用は箱の大きさによりいろいろだが、僕は年間75ドルの箱を借りている。契約した時に、空いている箱が1つしかなかったので、それを借りるしかなかった。もっと小さくて安いものもあったが、空きはなかった。預金者には30ドルの割引があるので、実際には年間45ドルだ。その支店の預金者である必要はない。その銀行に預金していれば、どこの支店の貸し金庫を借りても割引が受けられる。
その貸し金庫に年金証書や自動車や家の保険証書、家の鍵、トラックの鍵のスペアなどを入れてある。自動車の保険証書は自動車に載せる必要がなく、トラックには保険のIDカードを載せている。