ハワイ島てんやわんの楽園生活

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★ハワイの選挙スタイル

 前年10月ハワイ島の自宅に到着した時は、選挙期間中だった。各党の候補者が一本化されて、次の選挙で当選者が決まるという段階だった。注目を集めていたのは、州知事選だった。予備選に勝ったのは、民主党も共和党も女性候補だった。どちらが勝っても、ハワイ州では初の女性知事誕生ということになる。共和党候補が勝てば、民主党支持者が圧倒的に多いハワイでは40年ぶりの共和党知事の誕生ということで盛り上がっていた。

 選挙運動といっても日本のように選挙カーが走り回り、候補者の名前をスピーカーのボリュームをいっぱいに上げて大声で叫ぶというようなことはない。騒音に関しては選挙をしているのかどうかまったく分からないほど静かだ。

 目立つのは、各家の庭先に立てられた候補者の名前が書かれた小さな立て札だ。自分が支持する候補者の立て札を庭先に立てるのだ。これでは秘密投票は成り立たないのではないかと他人事ながら心配だ。お隣同士で対立候補の立て札を立てている場所もあった。双方とも普通の小さな名前だけのものだけではなく、写真入りの大きな立て札も立てていた。

 車のウインドウやバンパーに自分が支持する候補者のステッカーを貼っている人もいた。自分が誰を支持しているのかアピールしないではいられないのであろう。

 家の立て札や車のステッカーを調べれば、どの候補がどのくらいの票を取ることができるか予測ができそうだ。

 知事選は大接戦だった。民主党の女性候補は現職の副知事である。これまでハワイでは副知事が知事になるというパターンが繰り返されていた。一方共和党の女性候補は前回の知事選で現知事に5000票の僅差で敗れた経験があり、今度こそという気持ちがあったに違いない。

 パーティーを開き、支持者から献金を集めるという手法は、日本でも最近盛んなようだが、接戦の選挙では人々の関心も高く、多くの人が集まりやすい。献金もそれだけたくさん集まる。集めた献金の預金残高は選挙期間中も時々選挙委員会への報告が義務付けられている。それが新聞にも掲載される。どの候補がどのくらい集めているのかが分かるので、献金合戦がいやがうえにも盛り上がるのである。

 集めた献金は政治活動にしか使えないのは言うまでもない。ほんのわずかでも私的に使えば、逮捕される。政治献金が課税の対象にならないという特典を受けているために、罰則も厳しいのである。落選しても勝手に処分できないのは言うまでもない。では集めた献金を何に使うのかというと、テレビ広告を出すのに大半を使っているようだ。

 僕は毎日朝晩合わせて1、2時間しかテレビを見なかったが、選挙期間中は毎日選挙のコマーシャルを見た。同じ日に同じものを何回も見た。接戦が予想されていた女性知事候補2人のコマーシャルが圧倒的に多かった。相手を非難するコマーシャルも流されていた。元大関の小錦さんが共和党の女性候補を応援するコマーシャルもみかけた。

 候補者が労働組合などの団体に呼ばれてテレビ討論するという番組も多い。こちらは候補者にとってお金がかからない選挙運動になる。労働組合は候補者の政策を聞いて、どの候補者を支持するのか、決めて発表する。だから労働組合のボスがハワイの政治を牛耳っているとも言われていた。そうしたボスが組合のお金を横領したとかで逮捕されたことも、共和党知事候補には有利に働いたかもしれない。

 もちろんテレビコマーシャルを流す余裕のない候補者もいる。州の下院や一部上院のほか、ハワイ島カウンティカウンシルメンバーの選挙も同時に進行していた。これらの候補者の中には高速道路の路肩に立て看板を立て、そのそばで手を振るという運動をする人もいた。選挙権はないのだが、僕も彼らに手を振って通り過ぎた。

 Pahoaのファーマーズマーケットでぶらぶらしている時に、みすぼらしい格好のおばあさんにはがき大の手書きのチラシを渡されたことがある。家に帰ってそのチラシを見ると、自分に投票して欲しいと書いてあった。選挙運動のチラシだった。

 投票日の翌日、当選した人が高速道路の路肩で手を振って当選のお礼をしていた。選挙が終われば、ふんぞり返る日本の議員とはかなり違う印象を受けた。

 ハワイの新聞はどの議員がどのような法律を提案し、どの法律に賛成したのか、あるいは反対したのか徹底的に報道する。適当なきっかけがあれば、何度でもそれを報道する。だから日本のように議員が議会報告と称するものを有権者に送る必要はない。議員の数が多いので、すべてを報道するのは不可能だと主張する人には、じゃあ議員の数を減らしましょうと言いたい。減ったら困ることがあるだろうか。議員本人は困るかもしれないが、納税者や住民にとっては困ることはないと思う。議場で堂々と居眠りしている議員なんて必要はない。

 参院議員は30人ぐらいにして、実費だけ支給するボランティア制にしたらどうだろうか。大所高所から日本を考えてくれる人を委員会のようなもので推薦し、国民投票で決めるような仕組みがいいかもしれない。参院議員は衆院議員が作った法律案をチェックするのを主な仕事にしたらいい。

 衆院議員は各都道府県から平均3人程度の合計で150人ぐらいでいいだろう。人口比で定員を増減したらいい。彼らに納税者や国民の要望を受けて法律を作ってもらおう。議員が提案する法案の趣旨を具体的な法律文章に仕上げる専門家グループも必要になるかもしれない。そろそろ行政機関の職員が法案を作成するという変な慣習は止める時だろう。法律は立法機関で作るべきだ。行政機関は行政に専念すべきだ。

 小泉首相は議員活動にコストがかかる例として、はがきや手紙を何万枚も出せば、すぐに何十万、何百万円も必要となると国会で答弁していたが、税金をそんなことに使わないで欲しいと言いたい。すべての議員がそんなことをすれば、壮大な税金の無駄使いになってしまう。そんなはがきや手紙を受け取ってうれしいと思う人がいるのだろうか。どうせ屑箱行きなのではなかろうか。ごみ問題にも逆行している。そんなことに使うお金があるのなら、その分返してくれと言いたい。

 はがきや手紙に盛り込める情報はたかが知れている。どうせ挨拶程度の情報しか載せられない。そろそろ議員もインターネットを利用することを考えるべきだ。すべての議員にパソコンとインターネットを利用できる環境を無償で貸与すればいい。そうすれば通信費は不要になるかもしれない。その方がはるかに安上がりだ。しかも効率的だ。ハワイ州議会では最近議員全員にノートパソコンが貸与されたとの報道があった。

 ハワイ州では選挙で選ばれる公務員は言うまでもないが、一般公務員でも幹部については給料の額が公開される。当たり前のことだが、税金の使い道にはうるさいのだ。公務員の給料は民間に比べかなり安い。公に奉仕したいという気持ちの強い人が、公務員になるということだろう。

 民主党の一党支配が長すぎたという気持ちが民主党支持者にも強かったのであろうか。結局ハワイ州では共和党の女性知事が誕生した。知事の年間の給料は10万ドル以下である。州議会の上下両院の議員の給与は、カウンティカウンシルのメンバーと同じで年3万ドル台である。州議会は以前サラリー委員会からの給料引き上げ勧告を拒絶したことがあるそうである。おそらく世界一高い報酬を得ている日本の議員には見習って欲しいことだ。

続く

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